今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
真っ直ぐに見つめられる。
それどころじゃないはずなのに、しっかりと目を合わせて、安心させるように。
「……わかった」
この状況では、私がそばにいることはきっと迷惑になる。
だけどせめて、摩天楼の外に出て助けを呼ぶくらいなら私にもできる……。
「またね」
聞こえるか聞こえないかくらいの声が自然とこぼれた。
わずかに頷いてくれた、ように見えた。
途中、何度も振り返りそうになった。
無我夢中で細い道を抜けて摩天楼の外に出ようとしたとき、ほぼ同じタイミングで中に入ってきた人物とぶつかり。
「瑠花ちゃん……」
泉くんの声が落ちてきた途端、涙で前が見えなくなった。