今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
.

.



「ごめんクニヨシ君。瑠花ちゃんを呼んだのは、俺なんだ」



15分ほど経って、街の入り口に国吉くんが現れた。

泉くんのことを、何やら思いつめた様子で見つめたかと思えば。




「ちょうどあんたに聞きたいことあったんだ、夕立のことでね……」



そう言って泉くんに一歩近づいた。



「この街にいる“夕立響平”は、本当に“夕立響平“なんだよな?」



静かな声。

泉くんは特に驚く様子もなく笑ってみせた。



「うん、紛れもなく本人だよ。ちゃんとした生身のね。……でも、言いたいことわかるよ。調べたの? 事故のとこ」


「少しだけ。大きな事故だったはずなのに新聞には取り上げられていない、どうしてか当時のウェブの記事も全部削除されてた。……妙だなと思ったよ。だけど、漁ってるうちにそれっぽいログにぶつかった」


「へえ、よく見つけられたね。入るの難しかったろうに。クニヨシくん、ハッカーとか目指す気ない? 素質あると思うんだけど」



冗談めいた口調にも、国吉くんは固い表情を崩さなかった。
< 282 / 327 >

この作品をシェア

pagetop