今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -


「瑠花ちゃんごめんね! 急に夜勤になっちゃって……。家にはいないけど、なにかあったら電話かけてね」



4日目の夕方、少し早めの夕食をものの数分食べ終えた北村さんは、慌ただしく準備をしながらそう言った。



「ある患者さんが意識を取り戻されたみたいで。担当の看護師が急患の対応に追われてて、急遽わたしが出ることになったの」

「大変ですね、看護師さんって。……でもその患者さん、意識が戻ってよかった……」



北村さんは大きくうなずく。



「2年前の事故からずっと植物状態だったのよ。さっき連絡が入ったときは、びっくりしちゃった。担当の先生も、ほんとに奇跡だって驚いてて……」

「……2年前の事故?」



胸がざわっと音を立てる。



「そう……。たしか秋ごろだったかな? 瑠花ちゃんが中学3年生のときだね」


ドクリ

大きく脈を打った。

< 297 / 327 >

この作品をシェア

pagetop