今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「違ってたらすみません。もしかして、その人って、……“夕立”って苗字の女の人ですか……?」
声が震えてしまった。
北村さんは目を丸くする。
「そうそう! 瑠花ちゃん、もしかして知り合いなの?」
「……っ」
熱いものがこみ上げてきた。
嘘……ほんとうに?
響平のお母さんが、意識を取り戻した。
きっと、響平が何度も願ってやまなかったこと─―。
知らせなきゃ。
でも、どうやって。
響平は、あの街から出られないのに……。
焦る気持ちが涙に変わる。
「瑠花ちゃんっ?どうしたの、大丈夫?」
「……っ、すみません。私も連れていってくれませんか……? 夕立さんの病室に」
「えっ?」
「迷惑なのはわかってるんです。それでも……」
私の背中を北村さんは優しくさすってくれた。
「うん、わかった。一緒に行こうね。先生にはわたしから伝えるし、状態が安定したら快く中に入れてくれると思うよ」
北村さんの腕の中で泣く私は、本当に子どもみたいだった。