今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
――501号室、502号室。
ひとつずつ確認しながら、ゆっくりと廊下を進む。
無意識に、響平のネックレスを触っていた。
身に着けたことはほんの数回しかないけれど、いつも肌身離さず持っていたもの。
507号室は目前。
病室からは薄っすらと灯りがもれていて、廊下に細い光の道ができていた。
病室の一歩手前で立ち止まり、深呼吸。
中をそっとのぞきこんだ、
──その瞬間。
ベッドの横に誰かが立っているのが見えて、心臓が跳ね上がった。
看護師さんじゃない。
黒ずくめの服を着た……見るからに一般人じゃなさそうな、大人の男性。
他に人がいると思っていなかった私は、思わず一歩退いてしまった。
おそらく、意識が戻ったという連絡を受けて駆けつけたんだろう。
なんの関係もない私がここにいたら、きっと変に思われてしまう。