今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
機会を改めたほうがいいかもしれない。
それでも、いったい誰なんだろうという純粋な疑問が湧いてきて、病室の中に再び
目を向けた。
男性は無言のまま、眠っている響平のお母さんを見下ろしていて、両手で包むように白い手のひらを握っていた。
──この人は、響平のお母さんのことをとても大切に想ってる。
そう思わずにはいられなかったから。
響平には他に頼れる人がいなかったと、泉くんが言っていたのを思い出す。
……だとしたら、この人は?
いくら考えても、思い当たるのは一つしかない。
──響平の、お父さん。
そうだ。
母子家庭という話ではあったけれど、お父さんが亡くなっているなんて、泉くんはひとことも言っていない。
でも生きているなら、どうして響平を助けてあげなかったの……?
ぎゅっと拳を握りしめたときだった。
私の気配に気づいたのか、男性がふいにらこちらを振り返った。