今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
怖いのに、貼りついた喉からぽろりとそんな声がもれる。
相手は、頷くことも、首を横に振ることもせず、私をどこか虚ろな瞳で見つめていた。
「あの子には秘密にしてもらえると助かるんだがね」
それが答えだとわかる。
「響平は、知らないんですね。……あなたが、お父さんだって」
心臓はありえないほど激しく鳴っているのに、出てくるセリフは自分でも驚くほど冷静だった。
この人が、響平の父親なら。
今に至る経緯はわからないけれど、真実の裏側にある気持ちの部分が、ほんのわずかに見えた気がした。
「父親だから、助けたんですか?」
こんなの、私の願望を織り交ぜた想像にすぎない。
でも、もしかしたらと期待してしまう。
交換条件なんて、本当は建前でしかなくて。
「響平があの街にいることを拒否していたとしても、治療費は、出すつもりだったんじゃないですか」