今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -


返事はない。



「ねえ、響平ってば………っ」


瞳が薄っすらと開く。

ドキリとした。



「……うるさい。聞こえてる」


言葉とは裏腹な、優しい響き。


「足の怪我はもう大丈夫なの?」


私を見上げて、小さく笑う。



「へーき。てか。その傘、懐かしー……」



……え?

懐かしいって……どういうこと?



「何言ってんのかわかんねぇって顔してるな」

「え……、だってこの傘は……」

「俺に貸したこと忘れたのか」



心臓がきゅっと縮まった気がした。


頭の中で、あのときの光景がものすごい速さで再生される。

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