今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -


雨の夜に、病院の前に立ち尽くす人影。

声を掛けた自分。


渡すときに触れた手の冷たさ。

彼の声、その時のセリフ──。




「あれ、響平だったの……っ?」

「やっぱ覚えてねぇーよな。俺も最初わかんなかったし。何か、どっかで見たことあるようなって気はしてたけど」



……嘘。



「ちょっ、と待って……。頭追いつかないっていうか、響平は途中で気づいてたの? わかってて黙ってたの……?」

「別に、わざわざ言う必要もねぇだろ? 過去に会ってたとしても、今は関係ないからな」

「っ、関係あるよ! 少なくとも私は、早く教えてほしかった」




隣に引っ越してきた人が、実は生き別れた兄弟だったとか、転校先で好きになった人が、実は初恋の幼なじみだったとか。

映画のような、感動的な再会ではないかもしれないけれど、私にとっては、それと同じくらい嬉しいこと。

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