今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「あの時は暗くて、顔がよく見えなかったの……。明るかったら、絶対響平のこと覚えてたのに」
「はっ。何しょんぼりしてんの? 今思い出せたわけだし、こうやって会えてんだから、全然いーだろ」
響平の言葉は、いつも重たい気持ちを吹き飛ばしてくれる。
「ていうか、前にも言ったけど。俺、人の顔とかほんっと覚えらんねぇんだって。お前のこと思い出したのマジですごいから、褒めてほしーな」
「……うん。思い出してくれてありがとう」
「それ、ただのお礼な。俺は褒めろって言ったんだけど。頭撫でてくれたりしても、いいんじゃねぇの?」
「……こんなときにからかわないでよ」
気づいたらいつもペースに巻きこまれてる。
響平に流されるのは嫌いじゃないけど、今は──。
「あのね、響平に言わなきゃいけないことがある」
「……なんだよ」
響平は花壇に背中をつけたまま返事をする。
「体、起こしたら?」
「……じゃあ、瑠花が起こして」
「……っ」
「ほら、手こっち寄越せよ」
甘えられるままに起こしてあげると、満足そうに微笑む響平。