今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
ここまでの経緯を話した。
泉くんに響平の過去を聞いたこと。
北村さんから傘を受け取ったこと。
美月ちゃんに、響平と付き合ってないと言われたこと。
北村さんにお母さんのことをきいて病院に行ったこと。
……響平のお父さんである“あの人”に病院で会ったこと……。
響平は、表情を変えずに黙って聞いていた。
話し終えると、しばらく沈黙が続く。
雨の音しか聞こえない。
不思議と気まずさは感じなかった。
「今日さ。“あの人”が出ていくとき、俺近くにいたんだよ」
ふと、響平が口を開いた。
「電話の声に聞き耳立てて。……ああ、母さんの意識戻ったのかって。安心して、なんか力抜けた」
「……っ」
「そんであの人、慌ててたのか、落として行ったんだよね……写真を。肌身離さず持ち歩いてたんだってわかるくらい、くしゃくしゃでさー。広げてみてビビったわ」