今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -


まるでミラハーハウスのような鏡の壁。

大きな入り口。

ガランとした大きな部屋。




「ちょっ、響平……っ」


中に入って靴を脱ぐなり、響平はひょいと私の体を持ち上げてベッドまで運んだ。

下ろされて、ふわりと沈む。



ぎゅっと抱きしめられた。


「……っ、なんで抱きしめるの」

「まだわかんねぇの? わざとだろ。言わせたいのかよ」



だって、まだ聞いてないんだもん。


「言ってよ。言ってくれなきゃわかんない……」


涙が滲む。

響平が目をそらした。



「だから。お前に泣かれると興奮するんだって。……いつからそんな、泣き虫になった?」



そんなの知らない。

焦らさないで、早く言ってよ……。

私は言葉がほしいのに、響平は無理やり唇を塞いでくる。



「……──っ、きょうへい、」

「こういうことお前にしかしない」



至近距離で視線が交わった。


意地でも言わないつもりだ。



でも、ずるい。

言葉がなくても、ちゃんと伝わってくる……。

< 323 / 327 >

この作品をシェア

pagetop