今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
部屋の扉が閉まると、話し声も物音もピタリと聞こえなくなる。
静まり返った廊下。
人の目もなくなり緊張も解けるかと思いきや、今度は無音がふたりきりという状況をやたらと意識させてくる。
密着した部分が熱を持つ。
鼓動が早まる。
「あの、」
「うん?」
「周りの目もないし、もう離れても大丈夫なんじゃ……」
斜めに視線をそらしながら伝えると、
「あー。悪いな、なんか癖で」
悪いな、と言いながらも手を離すことはしない響平。
……“癖”って。
いつも女の人に、こういうことしてるってこと?
怖いほど綺麗な顔を見上げると、これは色んな人と遊んでいてもおかしくないなと勝手に納得してしまう。
むしろ、誰か特定の恋人をつくるよりテキトウにしているほうが、彼に似合っているとさえ感じた。
驚くべきは自分が今、そんな男の人とふたりで
しかも肩を抱かれながら歩いているということ。
そして、もっと驚くべきは──。