今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「えっ?」
思わず声が出てしまった。
エレベーターの中。
てっきりこの建物を出るとばかり思っていたのに、響平の指は迷わず【▲】のボタンを押したから。
「上がるの?」
「そうだけど」
当然のようにそう言われ、ますます困惑する。
「えっと、どこに…何しに……?」
「最上階。いいもん見せてやる。てか、今日は外出ねぇーほうがいいし、そんまま泊まってけば?」
最上階!?
泊まる!?
理解が追いつかない私をよそに、響平は淡々と話を続ける。
「てゆーか俺、女の顔ってあんま覚えらんねぇーの。けど、さっきあんた見たとき、この前会った女だってわかったんだよね」
エレベーターが動き始める。
後ろの鏡越しに、ぽかんと間抜けな顔をした自分と目が合った。