今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「やだ……っ。離して…ください」
「あ? 今さら抵抗すんじゃねーよ!」
「痛っ……」
力の差を理不尽なくらいに感じる。
いとも簡単に拘束されて身動きがとれなくなった。
だめだ、もう逃げられない……。
そう諦めて目を閉じたとき。
「兄貴、やべぇ。“あいつ”だ」
ひとりが突然ひきつった声を出したかと思えば、直後、私の腕をつかむ力が弱まった。
「あいつ?」
「麗然会の夕立だよ……」
誰……?
ふたりの視線を辿った先には、こちらにゆっくりと歩み寄ってくる人影。
とたんにその場の空気がピン、と張り詰める。
黒い髪の下からのぞく瞳は、影になって見えないけれど、口元に薄く笑みを浮かべているその人の周りには、暗く冷たいオーラが揺らめいていた。