今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
不安な気持ちが伝わったのか、しばらく私の目を見つめたあと、響平は肩を丁寧に抱き直して。
「大丈夫。俺、自分の女にはすげえ優しくするよ」
そう、とびきり甘い声で囁いた。
ドクドクっと、鼓動が不整脈のごとく鳴り響く。
心臓ごと響平のものにされたみたいだった。
……、
だめだ。演技派すぎる。
エレベーターの外に、黒い扉が見えた。
さっきいた階と造りが違う。
廊下に沿うように部屋がいくつも並んているわけではなく、やけに幅の広い一本の通路の先に、ただ一つの扉。
異様な存在感だった。
おそらく最上階は、この部屋のためだけにあるもの。
ここはいったい──。
「大丈夫。俺以外は入れないようになってるから」
真っ直ぐ歩いて、足を止める。
横に設置された機械に響平がスマホをかざすと、短い電子音が響き、扉は静かにスライドした。
てっきり何かの部屋が現れると思っていたのに、予想もしなかった景色に心臓がドキッと跳ね上がった。