今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
──なのに。
「俺だったら瑠花がいいけど」
「えっ?」
私の髪を触っていたはずの指先が、スッと首の後ろに回された。
距離が近くなる。
「響平……?」
視線がぶつかる。
相変わらず真っ黒で、感情は読めない。
「言ったろ、興味あるって」
「え……」
「なあ。ホントーに俺の女になるか?」
色っぽく笑われると、何も考えられなくなる。
響平のことを何も知らないのに胸が鳴るのは、きっと異性に慣れていないから。
絶対、きっと、たぶん、そうなのに。
私をここに連れてきたのもなりゆきで歯の浮くようなセリフだって棒読みで、好きなんて気持ちは1ミリだってないくせに。
「瑠花」
この人に名前を呼ばれると胸が熱くなる。
危険だって、頭の中で冷静な私が引き止める。
こんな始まり方をする恋に、いい結末なんて絶対待ってない。
わかってるのに引きこまれる。
瞳に映る真っ黒な世界を知りたいと思ってしまう。