今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
しばらく街を眺めたあと、ふと、黙ったままの響平を盗み見た。
口元の笑みは消えていて、別人のように思えた。
ゾッとするほど冷たい表情。
夜景を見ているはずなのに、瞳の中に光は映らない。
「……響平?」
急に怖くなって、思わず名前を呼んでしまった。
「うん?」
虚ろな瞳の中に、今はたしかに私が映っている。
目を見て返事をしてくれたことに、なぜかひどく安心した。
「何?」
「あ……ちょっと、呼んでみただけ……」
「はあ?」
呆れたような笑顔。
「なんだそれ」
「う……わかんない」
「俺、用もないのに名前呼ばれんのあんま好きじゃねーの」
「えっそうなの? ごめんなさい……」
「違う。最後まで聞け」
軽く頭をはたかれた。
「お前に呼ばれると、なんでか返事したくなるんだって」
「……え」
思わぬ言葉に硬直する。
「自分の考え事そっちのけで、話聞いてやりたくなるんだよ。俺の言いたいことわかる?」
「……う、ん?」