今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「ハイ、逃げない逃げない。逃げてもムーダ」
銀髪の彼がバイクを降りると、さっきまで私を拘束していた男たちはみるみる震え上がって、ついにはその場に跪いてしまった。
「お前らんとこの組とは、この前ケリつけたはずだよねー? なのに、なんでまだウチのシマにいるの?」
この銀髪の人、笑ってるのにすごく怖い……。
高校生くらいなのに……。
この街にいる人は、やっぱりみんな普通じゃないのかもしれない。
尻もちをついたまま、ぼんやり、どこか客観的にその光景を眺めていたときだった。
「あんた、今のうちに逃げれば?」
ふと、目の前に影がかかったかと思えば、抑揚のない声が落ちてきた。
決して大きいわけではない。
それなのに、背中に突き抜けるような衝撃が走る。
「あ……」
見上げると、黒い瞳が私を見下ろしていた。
睨まれているわけでもないのに、目が合ったとたん、その中に呑みこまれて身動きがとれなくなる。
この人は、もしかしてあのふたり組が
――“レイゼンカイ”の“ユウダチ”って呼んでた……。