今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -

私には目もくれずに、来た道を戻っていく

やっぱりその程度にしか思われてなかったんだと、悲しい気持ちが押し寄せるけど、これで響平を断ち切ることができるんだから、我慢するしかない。



響平の背中を振り返ったりはせず、泉くんと歩き出した。


隣で綺麗な銀髪が揺れる。
泉くんは社交的な性格をしているらしい。

私から醸し出される緊張感を、人懐こい笑顔が中和してくれる。



「水やりって?」

「響平、花育ててんの。意外でしょ? 摩天楼の近くに、あいつ専用の花壇があってさ。また今度見にきなよ、綺麗だから」

「そうなのっ? 意外すぎる」


胸の奥がキュッと狭くなって、心を持っていかれそうになる。


響平と私に「また」も「今度」もないけど

見てみたかったな……。

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