今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -

「摩天楼って、昨日、会議みたいなのがあったところのこと?」


花のことにはあえて触れず、微妙に話題をそらした。

それなのに。

「そうそう。瑠花ちゃんが響平と泊まった部屋のこと」

わざわざ言い換えて答えてくるあたり、少しいじわるだと思う。



「ずば抜けた高さだから、摩天楼って呼ばれてる。部外者はあの建物に入ることもできない。ましてや最上階なんてもってのほか。この街のトップシークレットだよ。俺だって入ったことないぜ?」

「ええっ?」


驚かずにはいられない。

だって響平は昨日、あんなにあっさりと、そうすることが当たり前のように、私をあの部屋へ連れて行ったのに。



「泉くんでも入ったことないの?」

「うん。初めて見る女の子をいきなり会合に連れてきたのはいつもの気まぐれかと思ってたけど、終わるやいなや一緒に最上階だろ。あのあとみんな、しばらく騒然としてた」



ククッと面白そうに笑う。

笑い返す余裕は、私にはなくて。


「なんで私は入れたんだろう」

「うーん。本気なんじゃないの?」


さらっとそんなことを言ってくるけど。
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