今夜、最強総長の熱い体温に溺れる。 - DARK&COLD -
「……なんつって。冗談だし」
パッと手を離し、にやりと笑う国吉くん。
「旗中に限って、あるわけないよなぁ。男でまともに喋れんの、俺くらいだもんね?」
わざとらしく哀れみの表情を向けてくるのは腹立たしいけれど、いつもの国吉くんだ、と安心する。
クラスのムードメーカー的存在の彼は、周りを笑わせるのが得意だから。
「まともに、っていうのは違うよ。男子相手でも、話しかけられたら普通に話せるし。……話しかけてくれる男の子が普段いないだけで……」
「だよな~。旗中、俺以外に話しかけられることなんか滅多にないもんな~!」
今度は鼻で笑われた。
失礼な、と思いつつ、本当のことだから言い返すことはしない。
うちのクラスは可愛い子が多いと学内で評判になっているらしく、実際、他のクラスの生徒が休み時間に見にくることもしばしば。
中でも美月ちゃんは断トツに人気で、この前も上級生に告白されたと言っていた。
今回は断ったらしいけれど、いつも1カ月しないうちに新しい彼氏ができている。
私はこれといってパッとしないし、地味だし、寮が同じじゃなかったら、関わることもなかったかもしれない。