秘密にしないスキャンダル
パシャパシャパシャッと車を降りた瞬間から強いフラッシュが瞬いて、その眩しさに咄嗟に目を手でガードした。
すると集まっていたマスコミ達は勇菜が顔を隠したと思ったのか駆け寄って顔を撮ろうと懸命になり、押し合いになっているのがわかった。

「ユウナさん、こっち向いてくださいっ！」

「一ノ瀬さんとのことは遊びだというのは本当ですか！？」

「Kaiserの二人とはどんな関係ですか！？」

「何か一言お願いしますっ！」

「答えてくださいっ！！」

マイクをこちらに向けながら必死に話しかけてくるマスコミの勢いに勇菜は唇を引き結びその場でぐるっと周りを見回した。
なるほど、この剣幕で来られたらあがり症で人見知りのお母さんじゃなくてもスキャンダルが怖くなるな。と思わず納得してしまった。

「ユウナさん！複数の人と交際しているとの報道ですが、これについて何か……きゃっ！」

「危ないっ！」

前の方にいた女性のマスコミが後ろの人達に押されて転けそうになったのを見て、勇菜は咄嗟に駆け寄って抱き止めるがその瞬間すら写真を撮るマスコミに勇菜は眉を潜めて顔を上げた。
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