秘密にしないスキャンダル
「何で後ろから押して転かしかけておいて写真ばっかり撮ってるんですか、大丈夫か心配するのが先でしょう!?」

少し大声で怒ると辺りは静まり返った。
大丈夫ですか?怪我は?カメラは?と聞くと、倒れかけた女性のマスコミは戸惑いながら、大丈夫です……。と頷いた。

「気を付けてくださいね。
……こんなにたくさんの人が一斉に駆け寄ってきたら危ないです。
怪我人が出たらどうするんですか」

最初は支えた女性に、最後の方は周りの人達に向けて言うと殆どの人が後ろめたさに視線をさ迷わせた。

「それに、こんなふうに押し寄せて話を聞こうとしなくても私は逃げも隠れもしませんよ」

「と言うことは、今回の騒動について会見される予定が?」

「んー……会見の予定はまだありません」

そう言うと全員が顔を見合わせ、どういうことかと勇菜に視線を向けた。

「会見は必要があればやるかもですが、今から飛び入りでちゃんと皆さんの納得のいく説明をと思ってます」

飛び入り?と首を傾げ周りがざわざわとしだしたその時にテレビ局の方から、ユウナ!!と大きな声が聞こえてきた。
反射的に全員が声のする方に振り向くと、そこにはこちらに向かって走ってくる隆矢の姿が見えた。
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