秘密にしないスキャンダル
「ユウナは浮気なんてしてないし、そんなことをする人じゃない」

「ですが写真が……」

「俺は写真よりも目の前にいるユウナの言葉を信じます」

しっかりと周りを見て言い放った隆矢の言葉に写真を撮る人、メモを撮る人の手が止まった。
抱き締められていた腕をそっと解かれると、行こう。と軽く手を引かれた。

「っ……みなさん今の写真、絶対ネットにあげてください!隆君のコメントつきで!
私保存しますからっ!」

「恥ずかしいからそんなことしなくていいです!
ほら早く、時間ないからっ!」

強引に引っ張られながら言いたいことをしっかり言っていると、マスコミの人達が唖然とした顔をしていた。
隆矢に引っ張られながら局内に入ると、車を駐めてきた堀原が先に到着していてエレベーターの近くで呆れたように立っていた。

「来るのが遅いと思ったら……何をやってるんだ」

「だって、隆君が抱き締めてくれてる写真なんて貴重で……」

「そんなの写真じゃなくてもいつでもやってあげるからっ!」

今は目先の事を考えて!と怒る隆矢に目を丸くするとふにゃっと頬が緩んだ。

「うん、今から頑張るから後でご褒美にたくさん抱き締めてね」

「っ……」

えへへー。と笑いながら言うと隆矢は顔を背けるがその横顔は赤く染まっていて、そんな隆矢を見ただけで勇菜はこれから起こす騒動を頑張れる気がした。
< 122 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop