秘密にしないスキャンダル
「え、越名陽菜さん!?」

『こ、こんにちは……。
ご無沙汰してます』

「い、今ハルト君がお母さんって……え!?」

おどおどしながらも勇菜のために頑張って計画に協力してくれた陽菜をモニター越しに目を細めて見つめていると、陽人が陽菜に、ほら早く。と何かを急かしているのが見えた。

『え、えっと、公表してませんでしたがハルトとユウナは私の子供で、二人のプロデューサーは私の弟です』

「ええっ!?」

『弟からは奥さんのお店の前でユウナと隆矢君のことを話していたら隠し撮りされたと聞いてます。
……だから写真に写っているユウナはこんなに笑顔なんですよね』

そう言って陽菜は母親の暖かい眼差しで微笑んでいて勇菜が、えへへ。と照れたように微笑んでいると出演者が何かに気づいたように、あっ!!と叫んだ。

「陽菜さんとユウナちゃん達が親子だとしたらKaiserの越名さんは……」

『あ、気付きました?
あの写真がスキャンダルとは程遠い理由、本人達から直接話してもらいますね』

「え、本人って……」

『実はこれ、今ライブ中のKaiserとも繋がってるんですよ。
今からそっちに繋げますね、古河さーん』

「え、ちょっ……ハルト君!?」

こちら側の戸惑いなど意に介さず、陽人が笑顔で手を振るとモニターの画面がパッと変わった。
その先は今まさにKaiserのライブ真っ最中のはずだけれど観客達がざわざわと戸惑いの声をあげているようだった。
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