秘密にしないスキャンダル
「そ……そんなその場しのぎのような婚約、すぐに破談になるわよ!」

「草野さん、さっきからあなただけ何なんですか?」

「え……?」

お祝いムードとなった空気に耐えきれなくなったように美佐が咄嗟に叫ぶと、隣にいたコメンテーターが鋭い眼差しを向けていた。

「ユウナちゃんの納得せざるを得ない弁明にも耳を貸さず、それどころか反発して、一ノ瀬君の婚約の発表も水を差して……何がしたいんですか?」

「わ、私はただ……」

「そう言えば、私は映画の撮影の終盤で草野さんが一ノ瀬君にユウナちゃんが浮気してるってスマホの画像をみんながいる前で見せていたって知り合いから聞きました」

「いつぞやの音楽番組の生放送でも草野さんはユウナちゃんに嫌味を言ってましたよね?
あれ、そう言えばその時にユウナちゃんがプロデューサーとの写真を誰かにスマホで隠し撮りされたって……」

「それって、昨日流出したこの写真ってことですか?」

「流出前に草野さんが一ノ瀬君に見せてたってことは……」

その場にいる全員が美佐に疑いの眼差しを向け始め、美佐が顔色悪く立ち尽くしていると勇菜が隆矢の腕の中からすり抜けて美佐の隣に駆け寄った。
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