秘密にしないスキャンダル
「どういうこと?」

番組が終了し、堀原と隆矢と共演者やスタッフの人達全員に番組をジャックしたことを謝って回った後、一人先にスタジオを出た美佐に会うために楽屋に行き堀原と隆矢に扉の前で待ってもらい勇菜一人で室内に入ると美佐に開口一番そう言われた。

「どうして庇ったの?
みんなも気付いたし、あなたもわかってるんでしょう?
……私があの複数の写真を流出させたって」

まさかあの人達があなたとあんな関係だとは思わなかったけどね。と腕を組みそっぽを向いて言った美佐に勇菜は笑顔を見せることなく小さく口を開いた。

「私、スキャンダルが嫌いなんです」

「は?」

「私自身はもちろんのこと、他の人のスキャンダルも嫌いなんです。
昔、母がスキャンダルで大変な目にあって本当に怖かったみたいで……そんな人を誰であろうと増やしたくないんです」

陽菜と勇人が結婚したのも元を正せばスキャンダルがあったからかもしれないけれど、困難を乗り越えて結ばれた二人として子供心に憧れにも似た気持ちもあったけれど、だからといってスキャンダルにいいイメージなどない。

「だから草野さんもこんなことでスキャンダルになってほしくないんです」

「こんなこと……?」

何が気に入らないのか、美佐は勇菜の話を聞いてさらに怒りを募らせたようで近くにあったペットボトルを掴むと思いきり床に叩きつけた。
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