秘密にしないスキャンダル
「……隆君はちゃんと私を守ってくれた。
マスコミに囲まれたときも飛んできてくれて、生放送でも手を握ってくれたり抱き寄せてくれたりして安心させてくれたもの」

じっと勇人を見上げると勇人は今まで勇菜に向けたことのないような感情の読めない眼差しを向けていた。

「そうそう、隆矢は悪くないだろ」

剣呑な雰囲気の中、陽菜と共に店に入ってきた陽人はどこか呆れたような顔をしながら言うと、母さんもそう思うだろ？と後ろを見た。

「う、うん、隆矢君は悪くないと思う……。
目上の人とか先輩さんとかに逆らえないのはよくわかるし、映画の共演をしていたのなら尚更だと思う……」

その場にいた全員に注目されておどおどとしながら自分の考えを話した陽菜に勇人が微妙な表情をすると、もしかして……。と陽菜が呟いた。

「勇人さん、隆矢君が勇菜と婚約するって宣言しちゃって拗ねてる……？」

「そんなことは……」

「だったらお祝いしてあげましょう？
私は隆矢君がおっちょこちょいな勇菜と婚約してくれるって言ってくれて嬉しかったですよ？」

「……」

陽菜の説得に勇人は顔を反らしじっと床を見つめていた。
なんだかんだ勇人は陽菜の言葉に弱いので、婚約を認めてくれるのではないかと期待してじっと見ていたら勇人が徐に口を開いた。
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