秘密にしないスキャンダル
すやすやとベッドの上で毛布に包まりぐっすり寝ている勇菜の顔にかかった髪をそっと手で退けてみると、少しだけ掠めた指先がくすぐったかったのか勇菜が小さく身動ぎした。
今日のことでよほど疲れていたらしい勇菜は隆矢の住んでるワンルームのマンションにやってきた瞬間、糸が切れたように眠ってしまった。

ーー守れてない。

先ほど言われた勇人の言葉がふと蘇り、隆矢は勇菜に触れた手を強く握った。
確かに、共演者だからとか先輩だからだとかを気にして強気に出れずにここまで大事になってしまった自覚はある。
そのせいで勇菜が大変な目にあったのも……。

「これじゃ、越名さんに許してもらえないのも当然だな……」

自嘲気味に笑いあどけない顔で眠る勇菜の頬にそっと口付けると、勇菜が小さく笑った気がした。

「次こそは絶対に俺が守るから……」

そう囁いて離れると、隆矢はスマホにきていた陽人からのメッセージに気付いた。

ーー勇菜のことよろしく。

簡潔なそのメッセージにいろいろな意味合いが込められているようで、隆矢は目を閉じるとこれからのことに考えを巡らせた。
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