秘密にしないスキャンダル
「生卵……」

ドラマの撮影の休憩中、勇菜からきたメッセージを読んで隆矢は思いきり眉を潜めた。
あの日、美佐の引退会見の後に陽人と朝陽から店を追い出され、勇菜を自宅まで送り届けた後に陽人から電話がきた。
その内容は、草野美佐が勇菜を直接狙いだす。というものだった。

引退会見を見ただけで何故そんなことがわかるのかと聞くと、陽人は簡潔にいくつかの答えを話した。

曰く、誰の目も気にしない自由な時間を手にできるはずなのに目は全く笑っていなかった。
むしろその目は恨みが籠りに籠った目だった。
草野美佐がそこまで恨む人物は勇菜だけだ。
自由な時間を手に入れたら、美佐が勇菜を攻撃出来るチャンスは格段に増えるはず。
つまりは勇菜に危害を加えるためだけに引退し、自由な時間を手に入れたと陽人と朝陽は予測したらしい。

聞かされて正直ぞっとしたけれど、決して勇菜にその事を言うなと釘を刺された。
いつでも明るいShineのムードメーカーである勇菜がその事を知って、不必要に不安がったりすると仕事にも支障をきたすと言われた。

そこで隆矢は理由は言わずに、何かあれば必ず連絡してくれるように伝えていたのだけれど……。

「……悪質だな……」

今度こそ、自分の力で勇菜を守りたい。
勇人にも認めてもらえるように、勇菜が傷つかないように。
隆矢は暫く考えてある決心をすると、監督のもとへ歩いていった。
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