秘密にしないスキャンダル
ついた先は駐車場に駐められた隆矢の車で、隆矢は車のキーを解除すると運転席に座るでも助手席を開けるでもなく後部座席のドアを開けると勇菜と手を繋いだまま乗り込んだ。

「隆君……？」

手を引かれ後部座席に入ると、そのままぐいっと手を引かれて次の瞬間には抱き締められていた。
突然の行動に戸惑っていると抱き締める力を強めてきたのでドキッと心臓が高鳴った。

「凹んでたらさ、俺を頼ってよ」

「でも、隆君だって忙しいのに……」

「忙しくても勇菜の為なら飛んでくるから。
一人で落ち込まないで」

抱き締められているせいですごく近くからそう言われて勇菜は隆矢の胸元の服を思わずぎゅっと握った。
背中に回された大きな手は自分よりも小さな体を離すまいと、もう片方の手はゆっくりと勇菜の頭を撫でていた。

「勇菜のことを嫌っている人がいたとしても、その分以上に俺が勇菜のこと好きでいるから」

「ん……ありがと、隆君」

強く抱き締められているせいで隆矢の胸元に程近い場所に耳が押し当てられている。
ドキドキと普段より確実に早いペースで脈打っている隆矢の心臓の音に、恥ずかしがりながらも真っ直ぐな想いを伝えてきてくれる隆矢はにこれ以上ないほどの愛しさが溢れそうになった。
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