秘密にしないスキャンダル
そーっと顔を覗かせてみると、今まさにドラマの撮影中で隆矢が先程とは打って変わった怖いくらいの表情でセットの一部を殴り壊していた。
演技中の隆矢を生で見るのは初めてなのでドキドキしていたが、セットを殴った手を見て先程とは違うドキドキが勇菜を襲った。
「右……っ!」
「静かにしろ」
思わず大声をあげそうになった口を一瞬の判断で堀原が塞ぐと監督がこちらを見た。
いつの間にかさっきのシーンはOKを出されていたらしく、監督がこっちに近付いてくると右手を差し出してきた。
「Shineのユウナちゃんだね、初めまして。
スキャンダル騒動では大変そうだったね、その後は大丈夫かな?」
「あ、初めまして。
お見苦しい騒動で恥ずかしい限りです。
その後は……まあ、大丈夫、とは言い難いかもですけど」
しっかりと握手を交わしながら監督の質問に苦笑いしながら答えると監督は、うん、そうだろうねぇ。と意味深に頷いた。
「あれから妙な嫌がらせを受けていると聞いたよ。
だから一ノ瀬君も心配してドラマの撮影の日取りや自分が出てくるシーンの前撮りを無理を承知で変えてくれるように頭を下げてきたんだ」
「え……?
それは、どういう……」
「監督っ!」
監督の言葉に勇菜が目を丸くしていると、勇菜の存在に気付いた隆矢が慌てて走ってきた。
さっきセットを思いきり殴っていたギプスで固定された右手を見ると、隆矢はばつが悪そうにそっと背中に隠した。
演技中の隆矢を生で見るのは初めてなのでドキドキしていたが、セットを殴った手を見て先程とは違うドキドキが勇菜を襲った。
「右……っ!」
「静かにしろ」
思わず大声をあげそうになった口を一瞬の判断で堀原が塞ぐと監督がこちらを見た。
いつの間にかさっきのシーンはOKを出されていたらしく、監督がこっちに近付いてくると右手を差し出してきた。
「Shineのユウナちゃんだね、初めまして。
スキャンダル騒動では大変そうだったね、その後は大丈夫かな?」
「あ、初めまして。
お見苦しい騒動で恥ずかしい限りです。
その後は……まあ、大丈夫、とは言い難いかもですけど」
しっかりと握手を交わしながら監督の質問に苦笑いしながら答えると監督は、うん、そうだろうねぇ。と意味深に頷いた。
「あれから妙な嫌がらせを受けていると聞いたよ。
だから一ノ瀬君も心配してドラマの撮影の日取りや自分が出てくるシーンの前撮りを無理を承知で変えてくれるように頭を下げてきたんだ」
「え……?
それは、どういう……」
「監督っ!」
監督の言葉に勇菜が目を丸くしていると、勇菜の存在に気付いた隆矢が慌てて走ってきた。
さっきセットを思いきり殴っていたギプスで固定された右手を見ると、隆矢はばつが悪そうにそっと背中に隠した。