秘密にしないスキャンダル
「警察……」

「前回の写真のこともそうだけど、数々の嫌がらせに今回の騒動……目撃者もたくさんいるし、嫌がらせの証拠は朝陽と陽人が握ってたから言い逃れは出来ないかな。
事務所も徹底的に争うって言ってるし」

「朝陽君とお兄ちゃん……ほんと敵に回したくないね……」

片腕で目を塞ぐように乗せて呟くと陽菜は、そうね……。と苦笑した。
お母さんのときも朝陽はすごかったのよ?と昔話をするように話す陽菜の心地良い声を聞きながら、勇菜はいつしか眠ってしまっていた。

次に目が覚めたときには陽菜の姿はなく、明るかった病室も暗くなっていた。
しんとした部屋では自分が身動ぎした音も大きく聞こえる程で、じっとしていたら近くの話し声が聞こえてきた。

「勇菜の様子は?」

「ぐっすり寝てたよ。
母さんが昨日のこと簡単に話してくれたらしいけど、まあライブであんな事あったからショックも大きいだろうね」

「君は、勇菜を守れた?」

「守れたと……思いたいです」

勇人と陽人、隆矢の声が聞こえてきて勇菜は静かに聞き耳をたてる。
守れたと思いたいと言った隆矢の声はどこか自信がないような気がして、ちゃんと守ってくれたよ。と伝えたくて体を起こそうとしたら静かな勇人の声が聞こえてきた。
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