秘密にしないスキャンダル
「勇菜が弱ってる姿を見せないのは癖なの?」
「え……?」
「その様子じゃ無意識かな。
よく周りも、自分でも気づいていないくらいだけど小さく震えてる」
「嘘……そんなことは……」
言いかけて、今の自分の手が震えていることに気付いて口を紡ぐ。
確かにライブ中に催涙スプレーを撒かれたことも、被害を受けた人が涙しながら苦痛を訴えるところも、美佐を取り押さえていた場面も、それでも憎しみを込めた視線を向けられたことも怖くて震えてしまったけれど、指摘されるほど頻繁に震えていた自覚は全くなかった。
「始めて俺が変装して握手会に参加したとき、顔が見えないのもあって怪しかったんだろうね。
勇菜はみんなに見せるように笑顔で話しかけて握手してくれたけど、手は微かに震えてたんだ」
シキテンさんとしての隆矢と始めて出会ったとき、確かデビューしたてで気持ち的にもいっぱいいっぱいで心に余裕がなかったような気がする。
「怖がらせたかなって思ってたけど、何度も握手会に通って様子を見てたら俺だけじゃなくて初めて会う人全員に震えていたのがわかったんだ」
「え……」
自分では震えているなんて思ってもなかった。
ただごく自然に、アイドルとして、好きになってもらえるように、応援してもらえるように、いつも笑顔で……。
「え……?」
「その様子じゃ無意識かな。
よく周りも、自分でも気づいていないくらいだけど小さく震えてる」
「嘘……そんなことは……」
言いかけて、今の自分の手が震えていることに気付いて口を紡ぐ。
確かにライブ中に催涙スプレーを撒かれたことも、被害を受けた人が涙しながら苦痛を訴えるところも、美佐を取り押さえていた場面も、それでも憎しみを込めた視線を向けられたことも怖くて震えてしまったけれど、指摘されるほど頻繁に震えていた自覚は全くなかった。
「始めて俺が変装して握手会に参加したとき、顔が見えないのもあって怪しかったんだろうね。
勇菜はみんなに見せるように笑顔で話しかけて握手してくれたけど、手は微かに震えてたんだ」
シキテンさんとしての隆矢と始めて出会ったとき、確かデビューしたてで気持ち的にもいっぱいいっぱいで心に余裕がなかったような気がする。
「怖がらせたかなって思ってたけど、何度も握手会に通って様子を見てたら俺だけじゃなくて初めて会う人全員に震えていたのがわかったんだ」
「え……」
自分では震えているなんて思ってもなかった。
ただごく自然に、アイドルとして、好きになってもらえるように、応援してもらえるように、いつも笑顔で……。