秘密にしないスキャンダル
すやすやと眠っている姿はいつの日か勇菜が一晩だけの家出をして家に泊まりに来たときの事を思い出させた。
その時と違うのはたくさん泣いて目元を腫らしてしまったことと、握っていた手がいつの間にか握り返されて離れなくなっていたことだった。

「これで、勇菜の心は守れたかな……」

「守れたんじゃないか?」

一人言のように小さく呟いた声に答えが返ってきて、反射的に振り返るとそこには朝陽が立っていた。

「朝陽さんっ!?」

「静かに、起きてもいいのか?」

今寝たばかりなんだろ?と言いながら勇菜の顔を覗きこんで微笑む朝陽に隆矢が、あの……。と声をかけた。

「本当に、守れたでしょうか?」

「何、自信ないの?
今まで誰も出来なかったことをやり遂げといて?」

呆れたように、けれど仕方ないなとでも言いたげに笑う朝陽に頷くと、朝陽は近くにあった椅子に座ってポツポツと話し出した。

「勇菜が持ち前の明るさで頑張ってアイドルやってたのはみんな知ってたんだよ。
でも、陽菜姉は人見知りのあがり症で上手いアドバイスなんて出来ないし、勇人兄さんは気にしてながらも手助けはしないと言う条件でデビューを許したから何もしてやれない。
堀原さんはマネージャーでもないからサポート出来ないし、陽人も野望を叶える為には厳しく接していないといけなかったんだ」

だから、勇菜も自分自信に虚勢を張ってでも頑張るしかなかったんだ。と話す朝陽はぐっすり眠ってる勇菜を優しく見つめていた。
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