秘密にしないスキャンダル
「まさか一年ずっと歌い続けてた歌で失敗すると思わなかったー」

「放送では歌詞が表示されるから誤魔化しようがないしね」

「ああぁぁ……。
ハルトに怒られるー……」

「……ドンマイ」

ポンッと頭に手を置かれて隆矢を仰ぎ見ると隆矢は目を細めて柔らかく微笑んでいた。

あ、この表情好きだな……。と思ったと同時にトクンと胸が鳴った気がして勇菜は目を丸くした。

「……あれ?」

「ユウナ?どうかした?」

「ん……今何か……?」

一瞬大きく動いたような気がした心臓にそっと手を当てて首を傾げ、手に意識を集中するとトクントクンと普段より少しだけ鼓動が早いような気もした。

「何か動悸がする……風邪かな?」

「え!?大丈夫?」

心配そうに隆矢が顔を覗きこんできた瞬間、ドクンッとさっきより大きく心臓が動いたのがわかり勇菜は戸惑った。

「む、無理かも……今思いっきりドクンッて……。
来週にはまたライブがあるのに、風邪引いたら怒られる……」

「と、とにかくハルト君呼んでくるから待ってて!
安静にね!」

慌てた様子で陽人を探しに行った隆矢の背中を見つめている間も勇菜の胸はトクトクと高鳴り、いつの間にか頬に集中していたらしい熱に気付き両頬に手を添えてまた首を傾げた。
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