秘密にしないスキャンダル
「ユウナちゃん、好きな人がいるの？」

「あ、はい。
どうやらそうみたいです」

「そうみたいって他人事みたいに……。
いいの？アイドルが恋愛の話しても……」

「うちの事務所は恋愛自由だから大丈夫ですよー」

「そ、そんなもんなのかな？」

でも応援してるよ、頑張って。とその人は苦笑して去っていった。
次はシキテンさんの番だと手を差し出すが、シキテンさんは手を出さずに顔を俯かせて黙り混んでいた。

「あの……？」

「……好きな人って……」

「はい？」

小さく呟かれた言葉を聞き取れず勇菜は首を傾げていると、シキテンさんは何か決意したような眼差しで真っ直ぐ見つめてきた。

「好きな人って、もしかして新人の俳優ですか？」

「え！？どうして知ってるんですか！？」

当てられた好きな相手に勇菜が驚いているとシキテンさんは、なんとなくです。と言葉を濁した。

「本当に、本当にその人のことが好きなんですか？」

「え？」

「何か思い違いをしていたりとか、勘違いだったりとか……」

ただ真っ直ぐと、じっと見つめてくるシキテンさんの眼差しを受け止めてふにゃりと微笑むと、勇菜はそっと自分の胸に両手を置いた。
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