秘密にしないスキャンダル
ライブ会場を出て無言で早足で歩く。
ドキドキと心臓が早鐘を打つのと同じ速度で歩き、大通りに出たところでタイミングよく通りかかったタクシーを止めて乗り込んだ。
「ここまでお願いします」
胸ポケットに入れていたスマホを取り出し、そこに表示されている住所と建物の名前を運転手に見せると運転手は頷いて車を走らせた。
「ここって芸能事務所ですよね。
お兄さんも芸能人の方ですか?」
「まあ、そんな感じです」
短く答えて気持ちを落ち着かせようと外の流れる景色をぼんやりと見つめるが、ようやく治まってきた鼓動も先程の勇菜の言葉と笑顔を思い出すだけで簡単に暴れだしてしまう。
「ほんと、勘弁してほしい……」
小さく呟いてマスクと眼鏡、目深に被っていた帽子を取るとそこからはアッシュブラウンでウルフカットの髪が現れた。
「あんな表情であんなこと言われて……ただでさえこんなに好きなのに……」
顔が赤くなっている自覚があり、くしゃっと前髪を鷲掴んで俯いているとルームミラーでこちらの様子を見たらしい運転手が、あれ?と口を開いた。
「お客さん、俳優の一ノ瀬隆矢じゃないですか?
テレビで見たことありますよ」
いやー、芸能人を乗せるの初めてですよー。と途端に饒舌となって話しかけてくる運転手の話を目的地につくまで隆矢は苦笑しながら聞いていた。
ドキドキと心臓が早鐘を打つのと同じ速度で歩き、大通りに出たところでタイミングよく通りかかったタクシーを止めて乗り込んだ。
「ここまでお願いします」
胸ポケットに入れていたスマホを取り出し、そこに表示されている住所と建物の名前を運転手に見せると運転手は頷いて車を走らせた。
「ここって芸能事務所ですよね。
お兄さんも芸能人の方ですか?」
「まあ、そんな感じです」
短く答えて気持ちを落ち着かせようと外の流れる景色をぼんやりと見つめるが、ようやく治まってきた鼓動も先程の勇菜の言葉と笑顔を思い出すだけで簡単に暴れだしてしまう。
「ほんと、勘弁してほしい……」
小さく呟いてマスクと眼鏡、目深に被っていた帽子を取るとそこからはアッシュブラウンでウルフカットの髪が現れた。
「あんな表情であんなこと言われて……ただでさえこんなに好きなのに……」
顔が赤くなっている自覚があり、くしゃっと前髪を鷲掴んで俯いているとルームミラーでこちらの様子を見たらしい運転手が、あれ?と口を開いた。
「お客さん、俳優の一ノ瀬隆矢じゃないですか?
テレビで見たことありますよ」
いやー、芸能人を乗せるの初めてですよー。と途端に饒舌となって話しかけてくる運転手の話を目的地につくまで隆矢は苦笑しながら聞いていた。