秘密にしないスキャンダル
「何でそんなに暗いの？
お父さんも隆君も仲悪い？喧嘩した？」

「いや、そんなことはないよ」

勇菜が腰に手を当てて言うと隆矢は慌てて否定するがその場の空気のせいで説得力がなかった。

「お父さん、私隆君とお付き合いしたいんだけど駄目？」

勇人の近く、ソファーの前に座りじっと見つめていると勇人が無言で見下ろしてきた。
何か言いたそうに少しだけ口を開こうとするがすぐに閉じるという動作を何度か繰り返した後に陽菜が勇人の隣に座った。

「私は賛成かな」

この場にそぐわないほどののんびりとした口調で言った陽菜に全員が視線を寄越すと陽菜はにっこり笑って、だって。と続けた。

「勇菜が選んだ人だし、悪い人だったら陽人が連れてこないと思うの」

そうよね、陽人。と話をふられた陽人はコーヒーを一口飲んで、そうだなぁ……。と明後日の方向を見た。

「ま、隆矢は悪い奴ではないと思うよ。
デビュー時代からファンみたいだし、変装して毎回勇菜に会いに握手会来るくらい一途みたいだし？」

「な、なんでそれを……」

「さあ？何で知ってるんだろうな？」

ニヤリと笑う陽人の黒いオーラが気になりつつも、さっきの会話の中で気になることがあり勇菜は首を傾げた。
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