秘密にしないスキャンダル
「お帰りなさい。
早かったんだね」

約束通り家に帰りついた後に電話をしてきてくれた隆矢に勇菜は傍にあったクッションを抱き締めてふふっと笑った。
近くには陽菜がいて、電話が鳴った瞬間にスマホを耳に当てていた勇菜を見て笑っているようだった。

『今日は本当にありがとう。
ご両親にもまた改めてお礼を伝えてくれる？』

「うん、わかった」

『……でも、すごく驚いた』

まさかトップアイドルのKaiserとトップモデルがご両親だと思わなかった。と言われて苦笑する。

「言えなくてごめんね」

『いや、大丈夫。
言えない理由もわかったし。
でもこれでやっと大分前に越名さんとユウナがかなり親しげだった意味がわかったよ』

熱がないかと額や頬、首筋を触ったり抱き上げたりといったような親しい間柄じゃないとやらないようなことを勇人は平然とやってのけ、それを拓也と陽人がフォローをするのが常だった。

『あのさ、俺、もっと俳優として頑張るよ。
事務所やご両親達にちゃんと認めてもらうために』

「……うん、応援してる」

隆君ならきっと、すごい俳優さんになれるよ。と言うと隆矢は、ありがとう。と言った。
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