秘密にしないスキャンダル
「まさかユウナちゃんの恋の相手が一ノ瀬君だと思いませんでした。
今度の映画の主演だなんて凄いですよね、映画も一ノ瀬君も話題ですよ」

「ありがとう」

好意的なファンの様子に隆矢も自然と笑顔になって握手を交わす。
その様子に、周りの人達が自分もと握手を求めて殺到しそうになり勇菜はさっと隆矢の前に立ちはだかった。

「ダメですよ、騒ぎを起こしたらお付き合い出来なくなっちゃうんです。
騒がないで順番に来てください。
私も隆君も握手でもサインでも写真でも雑談でもなんでもしますから」

後生ですからー。と必死にお願いすると殺到しそうになった人達は苦笑しながら元の場所に戻ったり並んだりした。

「隆君、みんなお願い聞いてくれたからまだまだお付き合いできるよ。
すごくいい人達でよかったね」

「……俺は勇菜のその何でも話してしまうところがすごいと思ってるよ」

隆矢の言葉に周りの人達が苦笑しながら頷いている。

「嘘ついたり隠したりするからバレたときに大事になったりスキャンダルだって言われちゃうんだよ。
堂々としてたら大丈夫!
あ、お願いですから私達がここでデート中なのは夜まで内緒にしといてくださいねー」

早速隠してるじゃんっ!と誰かの声が聞こえてどっと笑いが起こる。
勇菜も隆矢も一緒に笑い長く感じた順番待ちもあっという間に感じた。
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