秘密にしないスキャンダル
オリジナルメニューを二人で分けあい、たまにファンだと声をかけてくれた人の対応をしてようやく食べ終わるとまだ行ってない遊園地の乗り物を目指して手を繋いで歩きだした。

「前半は結構飛ばして絶叫系たくさん乗ったから、次はコーヒーカップとか大人しいやつ乗ろうか」

「え、コーヒーカップって大人しい乗り物?」

目を丸くして聞いてみると隆矢は、ジェットコースターとかより随分大人しいと思うけど……。と首を傾げた。

「小さいときにお兄ちゃんと叔父さんと一緒に乗ったことあるんだけど、二人ともハンドルを目一杯回してね。
すごいスピードと遠心力でカップにしがみつくのに必死だったの」

「ああ……小さいときにはよくやるよね」

「でも叔父さんはいい大人だったから後で奥さんに怒られてた」

「それは……」

楽しそうな叔父さんだね……。と懸命に絞り出したのであろう言葉に勇菜は、楽しい人だよ。と頷いた。

「いつか隆君に会ってもらいたいな。
叔父さんも会いたいって言ってたし」

「じゃあ今撮ってる映画がクランクアップしたら会わせてくれる?」

「もちろん!」

楽しみだなー。と一人ワクワクしていると、くいっと手を引かれて体が前のめりになった。
わっ!と足に力を込めて踏ん張ろうとすると逞しい腕に体を包み込まれ支えられた。
< 56 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop