秘密にしないスキャンダル
それからもメリーゴーランドやお化け屋敷、ウォータースライダーなどいろいろなものを楽しみ、時には並んでるときや歩いているときなどにたくさんの人に声をかけられたり写真を撮ったり、瞬く間に時間は過ぎてもうすぐ閉園時間となった。

最後には観覧車というのが恋人の定番のようで勇菜達が並んでいる観覧車の列は仲の良さそうなカップルが多く、その雰囲気だけで勇菜は恥ずかしく口数が見るからに減っていた。

「次の方どうぞー」

係りの人に呼ばれ隆矢に手を引かれて観覧車に乗り込むと、狭い場所に二人きりといった状態に今更ながら緊張が走った。
向かい合わせに座り観覧車がぐんぐん上に上がっていくけれど、外の景色を見る余裕もなく俯いていると隣に誰か来た気配がしてゆっくり顔を上げた。

誰かって、隆君しかいないんだけど……。と内心自分に突っ込んでいると隆矢が困ったように微笑んでいた。

「そこまで緊張されたら何も出来なくなるな」

「だって、隆君があんなこと言うから……」

「うん、それはごめん」

そっと頭を撫でられるが勇菜は恨みがましく隆矢を睨み付けた。
けれど真っ赤な顔で恥ずかしさのあまり潤んだ瞳になってしまっている状態で睨み付けても効果はなく、むしろ逆効果であることは全く気づかなかった。
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