秘密にしないスキャンダル
「おはようございます」

「おは……えっ！？」

誰かがスタジオに入ってきたのはわかったけれどスタッフが何故そこまで驚いたのかわからず、ざわつくスタジオにそわそわしながら椅子に座って軽くメイクをしてもらっていると誰かが肩を叩いた。

「隆矢、撮影頑張ってるらしいじゃん」

「その声……ハルト君！？」

「動くなって、メイク崩れるから」

思わず振り返りそうになった頭を押さえられ、隆矢は真っ直ぐ向き直ると陽人が隆矢の視界に入るように移動した。

「あの、どうされたんですか？」

こんなところに……。と続けると陽人は、情報収集。と答えた。

「情報って何の……」

「映画の主題歌を俺達が歌うのは聞いたよな？
曲作りのためにその場の雰囲気の情報収集しにきた」

「……そういえば、以前雑誌で作曲担当のハルト君も作詞担当のユウナも曲を作るためにそのイメージに近い場所まで行くことが多いって読んだことが……」

「その通り。
そしてイメージに最も近い場所がここ」

そう言ってスタジオなどを見回している陽人の様子を遠巻きに女性スタッフや出演者達が微かに頬を染めて見つめている。
あの勇人の息子だけあって結構似ていると噂されている陽人は女性人気がすこぶる高いのだった。
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