秘密にしないスキャンダル
「俺達は芸能界の厳しさを知ってるから、隆矢があの女を引き剥がせない理由もわかる。
だからそんなことで俺も勇菜もお前を責めたりしない」

「でも……」

「お前の中で葛藤があるのもわかるけどせっかくの主演映画だ、今は大人しくしとけ。
……ああ、でもこれだけは伝えておこうか」

陽人は掴んでいた隆矢の腕を勇菜から離させると次は勇菜の手を掴み掌を隆矢に見せた。

「この前の握手会でさ、変な女が勇菜に喧嘩売ってたんだよね。
力込めて手を握るし、脅迫めいた言葉を言い捨てるし、下手すりゃ騒動にもなるのに」

「え……」

初めて聞いた事に隆矢は目を見開くと心配そうにこちらを見た。
大丈夫だよ。と掴まれている手を振るが隆矢は納得してそうになかった。

「芸能界でも一般人でも、そういう姑息な手や力ずくて動く奴も少なからずいる。
その場合は遠慮せず立ち向かえ」

相手を芸能界から消す覚悟でな。と言うと、陽人は勇菜の手を掴んだまま歩きだした。
首だけ振り返り隆矢に、お仕事頑張ってね!と声をかけるが隆矢は微かに俯き何か考えているようでこちらの声は聞こえてないようだった。
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