秘密にしないスキャンダル
「ユウナちゃん、この前怪しい人が来たんだって?」
大丈夫?と恒例の握手会でほとんどの人に心配されてしまうのを勇菜は申し訳なく思いながら笑顔で、平気ですよー。と答えた。
先日の握手会での女性の噂はファンの間ですぐに広まったようでみんな口々に、怪しい人がいたら握手出しちゃダメだよ。とか、女の人でも気を許しちゃダメだよ。とか、お菓子もらってもついていっちゃダメだよ。とか言われてしまった。
私、二十歳越えた大人で小学生じゃないんですけど……。と思いながら笑顔で頷いていたが、今握手している人が、あのさ……。と心配そうに口を開いた。
「帽子かぶってるとかマスクとか……顔を隠してる怪しい人は握手会に参加できなくしたらいいんじゃないかな?」
それは前回の握手会の後の反省会でスタッフの人達からも出た案なのだけど、勇菜は眉を下げてその時と同じように首を横に振った。
「何かしら事情があって顔を隠している人もいると思うんです。
それに顔が見えない人みんながみんな悪い人じゃないと思うので、もう少しこのままやりたいなと思ってるんです」
「だけど……」
「ご心配ありがとうございます。
ちゃんとみんなで話し合って最善な方法をとっていきますから」
笑顔でそう言うと、うん、気をつけて頑張ってね。と微笑まれた。
握手会に来てくれる人達は本当に良い人達ばかりなんだけどな……。と次に並んでいる人に視線を移すと久しぶりに見る人物に勇菜は目を丸くした。
「シキテンさん、お久しぶりです!
暫く見かけなかったから他の誰かを見張りに行ったのかと思ってました」
「……久しぶり。
ていうか、毎回思うんだけど“シキテン”って何?そして見張りって?」
細かいことは気にしないでください。と言うと、だから普通は気になるよね?と返された。
大丈夫?と恒例の握手会でほとんどの人に心配されてしまうのを勇菜は申し訳なく思いながら笑顔で、平気ですよー。と答えた。
先日の握手会での女性の噂はファンの間ですぐに広まったようでみんな口々に、怪しい人がいたら握手出しちゃダメだよ。とか、女の人でも気を許しちゃダメだよ。とか、お菓子もらってもついていっちゃダメだよ。とか言われてしまった。
私、二十歳越えた大人で小学生じゃないんですけど……。と思いながら笑顔で頷いていたが、今握手している人が、あのさ……。と心配そうに口を開いた。
「帽子かぶってるとかマスクとか……顔を隠してる怪しい人は握手会に参加できなくしたらいいんじゃないかな?」
それは前回の握手会の後の反省会でスタッフの人達からも出た案なのだけど、勇菜は眉を下げてその時と同じように首を横に振った。
「何かしら事情があって顔を隠している人もいると思うんです。
それに顔が見えない人みんながみんな悪い人じゃないと思うので、もう少しこのままやりたいなと思ってるんです」
「だけど……」
「ご心配ありがとうございます。
ちゃんとみんなで話し合って最善な方法をとっていきますから」
笑顔でそう言うと、うん、気をつけて頑張ってね。と微笑まれた。
握手会に来てくれる人達は本当に良い人達ばかりなんだけどな……。と次に並んでいる人に視線を移すと久しぶりに見る人物に勇菜は目を丸くした。
「シキテンさん、お久しぶりです!
暫く見かけなかったから他の誰かを見張りに行ったのかと思ってました」
「……久しぶり。
ていうか、毎回思うんだけど“シキテン”って何?そして見張りって?」
細かいことは気にしないでください。と言うと、だから普通は気になるよね?と返された。