秘密にしないスキャンダル
「ただいまー」

「ちょっと、買い出しから帰ってくるなら裏口からっていつも言ってるでしょ！」

「ごめんごめん、こっちから店に入る方が早いからさー」

まったく罪悪感を感じていなさそうに笑い混じりに話しているよく知る声が聞こえて首だけ振り返った。
買ってきた荷物を渡して、真未に勇菜達が来ていることを知らされたのであろう人物はこちらに顔を向けるなりニッと笑った。

「陽人、勇菜、俺を待ってたって？
堀原さんも一緒ってことはちゃんと二人のマネージャーになったってこと？」

「お帰りなさい、プロデューサー。
そうなの、お母さんが堀原さん譲ってくれたの！」

「はは、よかったな。
っていうか今はプライベートだろ？いつもみたいに名前で呼べよ」

「うん、朝陽君」

そう言って微笑むと朝陽と呼ばれた男性は豪快に勇菜の頭を撫でてから近くの椅子を持ってきて同じテーブルの前に座った。

秋村朝陽(あきむら　あさひ)は真未の旦那で陽菜の弟、勇菜と陽人の叔父であり、またShineのプロデューサーでもあった。
そもそも二人が兄妹アイドルとしてアイドル界の頂点に立つのを夢と野望にしているのも、この朝陽の影響が少なからずあったことも事実だった。
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