秘密にしないスキャンダル
「まあ、そんなわけで俺から出す条件は二つ」

「二つ!?」

何でっ!?と思わず立ち上がると朝陽は、まあ座って落ち着け。と促した。
渋々座って不満気に朝陽を見ると、朝陽は指を二本立てて見せた。

「一つはプロデューサーとしての立場から。
恋に盲目的にならずに常に冷静な判断をすること」

「はい」

「そしてこれは叔父として……。
スキャンダルを恐れずに堂々と恋を楽しめ」

何かあったその時のために堀原さんがいるんだからな。と悪戯な笑顔で言われて勇菜は、はいっ!とさっきより元気に返事をした。

先程からとても微妙な表情をしている堀原に哀れみの視線を投げかけている真未は、堀原さんって朝陽のこと苦手ですよね。すごく振り回されてる。と最早質問ではなく断定されて言われたが、否定する気力もなかったらしい。

「そうですよ。
だから、朝陽君に似てる俺のことも苦手なんですよね」

「……それは笑顔で言うことか……?」

マネージャーになってそんなに経っていないはずなのにもう疲れ果てて見える堀原に勇菜は甘いカフェオレを差し出すが遠慮されてしまった。
美味しいのになと思いながら、片付けられたテーブルに陽人の楽譜と勇菜の歌詞を書いた紙を広げると、そこからはプロデューサーとShine、マネージャーとしての長い時間が始まった。
< 82 / 223 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop