秘密にしないスキャンダル
日はとっくに沈み訪れる客も時間帯によって入れ替わり立ち替わりする中、一つのスペースを長い時間貸してもらったおかげもあって二人の譲れなかった部分が朝陽の的確なアドバイスのおかげでお互い納得のいく形になった。

「さすがプロデューサー!
これなら俺のメロディも勇菜の歌詞も完璧にハマる」

「うん、やっぱり困ったときはプロデューサー頼みだね!」

曲が出来上がった嬉しさに二人でハイタッチしていたら、お疲れ様。と真未から持ち帰り用の軽食が入った袋を渡された。

「いつもありがとうございます、真未さん」

「長い時間すみません」

「いいのいいの、私もShineのファンだし、このお店で新曲が出来るなんて嬉しいし」

「優しい真未さん、大好きですっ」

「私も勇菜ちゃん大好き」

二人ひしっと抱き合っていたら陽人に襟首を捕まれて引き剥がされる。
紙の山もいつの間にか片付いて、堀原の持っている鞄にしっかりと納まり、後はもう会計をして出るだけの状態だった。

「スタジオ行くから堀原さんと車とってくる。
勇菜は少し待っといて」

「わかった。
真未さん、お会計を……」

「今日は俺が奢るからこの後のレコーディング頑張れ。
堀原さん、くれぐれも二人のこと頼みましたよ?」

「……わかってる」

朝陽の言葉に堀原はしっかり頷いて答える。
堀原と陽人が出ていって、二人を待ってる間勇菜は外で店仕舞いを手伝いながら隣にいた朝陽に、あのね。と話しかけた。
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